先日放送されたNHKスペシャル「放送記念日特集~新動画時代 メディアが変わる」。感想はシロクマ日報で書いたのですが、いくつか面白いキーワードが登場していたので、忘れないように自分用メモ。番組は録画して見たのですが、もう一度みるのがおっくうなので(すみません)、失礼ながら誰の発言かは明記していません。
【「ネットはアメを売る前の紙芝居屋」論】
YouTube に明確なビジネスモデルがないことに絡めて。
「昔の紙芝居屋だって、紙芝居をエサに子供を集めて、集まったところでアメなどのお菓子を売っていた(つまり紙芝居で儲けるのではなく、お菓子を売ることで儲けるビジネスモデルだった)。いまのインターネットは、とりあえず人々を集めて、さあこれから何を売ろう?としているところではないか」
的な話だったと思います。紙芝居屋が健在だった時代には生きていないので、お菓子を買わない「ただ見」が許されていたかどうかは分からないのですが(確か何も買わないで見ると怒られたのでは)、面白い例え方だったので。年配の方々には、こういう表現をすると分かってもらいやすいかもしれません。
蛇足ですが、「無料ビジネスをどう成り立たせるか」という話については、ロングテール理論で有名なクリス・アンダーソン氏が書かれた以下の記事が面白かったです:
■ Free! Why $0.00 Is the Future of Business (Wired)
この記事の分類に従えば、紙芝居屋は"Cross-subsidies"型(無料もしくは安価で何かを提供し、来た人に別の何かを買ってもらうことで儲ける)に当てはめられるでしょうか。
【大相撲のラジオ中継に、相撲協会は反対した】
これはシロクマ日報でも触れたのですが、番組の終わり近くで語られたエピソード。NHKが大相撲のラジオ中継を企画した際、日本相撲協会は反対したそうです。その理由は「国技館(会場)に足を運んでもらい、入場料を得るのが相撲のビジネスモデル」だから。無料で試合内容を伝えるなど言語道断だったそうです。しかしフタを開けてみれば、逆に入場者数が増えるという結果に。
この話、他の無料ビジネスにも参考になる話かもしれません(ちょっと時代は古いですが)。無料が既存の有料モデルを破壊するとは限らない、という例で。
【「あれがくだらないと言ったら、テレビでやってることだってくだらない」】
これはコラムニストの天野祐吉さんの言葉だったように思います。YouTube には面白いもの・つまらないものが玉石混淆になっていることを指摘しつつ、(YouTube で話題を集めた動画が)くだらないと言うなら、テレビだって、という話。これはもう、仰る通りとしか言いようがないコメントで、テレビの企画というものが実は素人レベルだったというのを証明してくれたのが YouTube だったのかも。もちろんテレビ局にしか作れない番組というものはあるわけで、そこを生き残りの突破口にしようとする海外メディアの例が番組では紹介されていましたが。
【「テレビの前にいるのは、祖母のカツコさんだけです。」】
これもシロクマ日報で触れましたが、同じ部屋でおばあさんはテレビを見ている・お孫さんはPCを見ているというシーンを写し、そこに被せたナレーションがこれ。まさかこんなに痛烈な皮肉を、テレビ番組で見ることになるとは。さすがNHK!おれたちにできない事を平然と(略
【場所に合わせたコンテンツを提供する】
これは発言ではなく、海外のテレビ局の取り組みの紹介。ガソリンスタンド(給油機の上部にモニタを設置し、給油中のお客さんがテレビを見れるようになっている)やジム、タクシー、病院の待合室などなど、様々な場所に合わせてコンテンツを作り替える努力をしているという話。例えばガソリンスタンド向けなんかは、給油という短い時間で見終わるように構成されているわけですね。これはごく当然な話で、日本のテレビ局だってマネできるように思うのですが、やはり「番組制作能力」「著作権」といったところがネックになってできないのでしょうか。
……というわけで、個人的にはなかなか楽しめた番組でした。秋元康氏を見た瞬間に、「こりゃおニャン子クラブかAKB48と絡めてくるぞ」と思っていたら、その両方が言及されたのには若干引きましたが。
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