忙しいとか言いつつ外部のイベントに行ってるわけですが、今日はひょんなことで総務省の「モバイルビジネス活性化プラン評価会議」第3回会合に行ってきました(シロクマ日報でも少しこの件に触れました)。販売奨励金が削減されて弱気になってる某S社に対し、座長が「いまのは敗北宣言ですね!」などと言い放つなど、意外にエキサイティング(?)な内容。半分宣伝のようなどこぞのパネルディスカッションより、よっぽど考えさせられる内容でした(会議で配布された資料等は、そのうち総務省のサイト上で公開されるはず)。
で、ちょっと気になるネタがあったのですが。こちらも総務省内の会で、通信プラットフォーム研究会なるものが存在しているのですが、そこで準備中の報告書(案)の中にこんな一節があることが紹介されていました:
現在のネットワーク関連事業においては、一般の利用者の提供するコンテンツを集約し、こうしたコンテンツの集約が更に当該コンテンツの市場価値を高めるといった、ネットワーク効果をいかしたCGC(Consumer Generated Content)型の事業モデルが普及期に入ってきている。
また、ネットワークのシームレス化によって、利用者のネット上での活動データであるライフログ(ネットを介した購買履歴、サイトへのアクセス履歴等)をベースに、サービス提供事業者は、利用者の求める情報だけを探し出すサーチ機能や、各利用者の行動や嗜好から有益と考えられる情報を提供するレコメンド機能を具備し、これをタイムリーにプッシュ型で利用者に配信する事業モデル(ターゲティング広告)が注目されてきている。
こうしたパーソナライズされた新ビジネスは潜在的に高い市場性があるものと考えられるが、他方、利用者個人の属性、履歴(検索履歴、購入履歴、行動履歴)のデータや分析結果が必要であり、慎重な検討が必要である。
すなわち、ライフログの収集に関し、個人の属性情報の取扱いはあくまで利用者個人が管理でき、当該個人が了承している場合に初めて認められるべきものである。具体的には、利用者のID、利用履歴、プレゼンス情報など利用者が承認した程度に応じて、ライフログを利用したサービスの利便性を利用者が享受でき、属性情報の提供の程度は利用者個人が自ら、かつ希望するタイミングで自由に管理可能な仕組みが整っていることが必要である。
(※強調は引用者)
長くなりましたが、要は「ライフログを活用したビジネスが盛り上がりそうだけど、『個人の情報(≒個人情報)』を扱うのだから慎重にね、それからログのコントロール権+ログから得られた利便性を消費者自身に与えなくちゃいけないよ」、と。さらにこの件について、今後取るべきアクションとして以下のような提言があります:
このため、ライフログ等を活用した事業展開を行う際の通信の秘密の確保、個人の属性情報の取扱いなど、法制度の面からも多角的かつ慎重な検討が必要であり、ライフログ等を活用した事業展開を行う場合の基本的ルールについて、行政当局は関係者で構成する検討の場(研究会等)を設け、利用者の視点に立った市場環境整備を図るため、09年夏を目途に一定の結論を得ることが適当であり、こうした社会的ルールの整備を図ることにより、新規事業の健全な発展と利用者の権利保護の双方が確保されることが期待される。
ということで、来年夏をメドに基本的ルールの整備を行うと。実際、この方針に基づき、総務省はパブリックコメントの実施も計画しているそうです。余談ですがこちらの資料の39ページでは、ターゲティング広告の規制に関連した米国での動きがまとめられています。
この「基本的ルール」を話し合う会議が公開されるのかどうかは分かりませんが、これまで関連する会議の傍聴が認められていたことを考えると、今後も一般人の立ち入りが許可される可能性は高いのではないでしょうか。そうなった場合は、機会を見て傍聴に行ってみることをお勧めします。賛成・反対のいずれの立場を取るにしても、これは私たちの仕事と私生活に大きく関わってくる問題ですから、メディアのフィルタを通っていない生の情報にあたる価値は大きいと思います。
……などとキレイにまとめましたが、いや、今日の会議はいっそのことニコニコ動画あたりで中継してもいいのにとか思いましたよ。そこに付いたコメントを総務省側で把握しろ!などと言うつもりは一切なく、単純に「ここで行われている議論をネット界隈の人々はどう思うかなぁ」という気持ちで。一時期「裁判を傍聴しよう!」というブーム(?)がありましたが、意外と官公庁周辺もネタの宝庫だったり、とか不謹慎なことを考えてみたり。
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