昨日のセマンティックWEBコンファレンス2006では、講演者と聴講者をつなぐ面白い仕掛けがしてありました。"JACLE"というシステムで、参加者はコンファレンス用のWEBサイトから、スクリーンに表示されている画面(プレゼンテーション用スライド)に自由に付箋(アノテーション)を貼ることができるというもの。コンファレンス公式サイトの解説によると、
W3Cが提唱するWebコンテンツへの注釈情報やメタ情報の付与スキーマであるAnnoteaは、単なるRDFによるアノテーションの付与だけでなく、グ ループ内および企業内における、Webコンテンツをベースとした、情報流通とコラボレーションの基盤となる可能性を秘めている。今回のセマンティック Webコンファレンスでは、当グループが開発したAnnoteaクライアント"JACLE"(Javascript Annotea-client for Collaboration Environment)を、来場者の持参ノートPC上で実際に使用して頂き、講演中の各スライドに対して、質問事項やコメントのアノテーションをリアル タイムに付与することにより、グループ内および企業内コラボレーション基盤としてのAnnoteaとJACLEの可能性を、来場者に体験して頂く。
とのことです。例えば次の画像は、ある講演で使用されたスライドをWEBサイト上から表示させたものなのですが、付箋が貼られていることが分かると思います(クリックで拡大):
この付箋は僕が付けたものではなく、参加者のどなたかが作成したものです。そしてこの画面が壇上のスクリーンにも表示され、PCを持ち込まなかった方や講演者の方にも、書込みが行われたことが分かるようになっていたというわけです。会場ではシステム負荷の関係から、リアルタイムよりも30秒ほど遅れて反映されるような感覚でしたが、調整すればリアルタイムでの更新も可能とのこと。
このシステムを利用して、コンファレンス後半に行われたパネルディスカッションでは、パネラーと会場にいる参加者の間でコミュニケーションを行う、という試みが行われました。仕組みは違えど、海外のセミナーなどで同様の試みが行われたというニュースを聞いたことはあったのですが、実際に体験するのは初めて。まだまだ問題点はあるように感じましたが、なかなか面白い体験でした。例えば、次の画像はパネルディスカッション中に表示されていた画面の一部(クリックで拡大):
こういった付箋が随時書込み/表示され、最後にはこんな風に(クリックで拡大):
一見してお分かりのように、書込みが大量に行われると、何がなんだか分からなくなってしまいます。一応、書込みを時系列で確認する機能はあるのですが(クリックで拡大):
決して使いやすいというインターフェースではありませんね。コメントをスレッド形式で表示するなど、掲示板やブログの仕組みが応用できるかもしれません。またアクセスが増えた場合に、レスポンスが遅くなることもありました。これについては、
とのことなので、これから改善されるのでしょう。
またシステム以外の問題として、日本人の気質による問題というか、「最初はなかなかみんな書き込もうとしない」という点がありました。システムに慣れていなかったせいもあるでしょうが、司会者の方から促され、少しずつ書込みが行われるような状態。しかし面白いのは、ある一定の書込みが行われて画面が賑やかになると、とたんに書き込む人が増えたという点。これもある意味、日本人気質といったところでしょうか。
ともあれ、視聴者を参加者に変える仕組みというのは、講演やパネルディスカッションをより有意義なものにする効果があると思います。参加者にとっても、講演者やパネラーの話をより集中して聞こうというモチベーションになるのではないでしょうか。他のセミナーやコンファレンスでも同様の仕組みが提供されるようになると良いですね。
最近のコメント