「Amazon.com が電子ブックリーダー"Kindle"の開発に乗り出している」という話、耳にしている方も多いと思います:
■ Amazon Kindle:アマゾンの電子ブックリーダ (Engadget Japanese)
■ Amazonの電子ブックリーダーKindle:登場間近 (Engadget Japanese)
それが米国で出荷開始ということで、詳細なレポート(全7ページ!)が Newsweek で報じられています:
■ The Future of Reading (Newsweek.com)
7ページもあるのかよ、と思われた方(僕もです)。1ページ目の最後の段落に注目です:
Some of those features have been available on previous e-book devices, notably the Sony Reader. The Kindle's real breakthrough springs from a feature that its predecessors never offered: wireless connectivity, via a system called Whispernet. (It's based on the EVDO broadband service offered by cell-phone carriers, allowing it to work anywhere, not just Wi-Fi hotspots.) As a result, says Bezos, "This isn't a device, it's a service."
上記の機能のうちいくつかは、既存のEブック端末(特に Sony Reader)にも装備されている。Kindle の真のブレークスルーをもたらすのは、これまでの端末にはなかった機能 ― "Whispernet"と呼ばれるネットワークを通じて実現されるワイヤレス接続機能 ― である。(これはEV-DO方式のブロードバンドをベースにしたもので、携帯電話キャリアによって提供される。Wi-Fi のホットスポットでだけでなく、どこでも利用できる。)その結果として、ベゾスは次のように述べている ― 「これはデバイスではない、サービスだ」。
デバイスではなくサービス……いかに今回の端末がハード面から考えられているのではなく、サービス面から考えられているかを示している言葉ではないでしょうか。半分期待を込めて、の感想ですが。
それではこの Kindle、および Amazon のEブックサービスの特徴をまとめてみると:
- 端末の価格は$399
- 2時間の充電で、30時間の閲覧が可能
- 重量は10.3オンス = 292グラム
- "Whispernet"により、ワイヤレスでネット接続が可能(端末から通常のウェブサイトも閲覧可能)
- 端末から Amazon のストアに接続し、Eブックの購入が可能
- Eブックの購入は「ワンタッチ」プロセス
- サービス開始当初から、88,000以上のタイトルが購入可能
- Kindle 端末専用のメールアドレスが配布される
- Kindle にメールで WORD や PDF のファイルを送ると、通常のEブックと同様に、ライブラリに表示されて読むことができる
(※11月20日訂正: Newsweek はこう報じているのですが、PDFはサポートされていない、という情報もあります)
- 新聞(the Times, The Wall Street Journal, The Washington Post, Le Monde)や雑誌(The Atlantic)の購読も可能
- 選定されたブログの購読も可能(1ヶ月の購読料は99セント or 1.99ドル)
などなど、なかなか興味をそそられる話が満載なのですが……1つ言えることは、これは単なるEブックリーダーではなく、携帯型コンピュータに近い存在ということですね(文中には、"Amazon believes it has created the iPod of reading."「アマゾンは読書版 iPod を完成させたのだ、と信じている」という指摘もあります)。メールアドレスが配布されたり、キーボードが付いていたりということも、「Amazon は新しいコンピュータを売り出したのだ」と考えれば納得です。Eブックを突破口に、新たなプラットフォームとしての地位を確立することを狙っているのではないでしょうか。
それから、個人的には最後の「選定されたブログの購読も可能(1ヶ月の購読料は99セント or 1.99ドル)」という部分が気になります。ブログは当然ながら、無料で読んでもらうことが前提の存在ですが、「自分のブログにはお金を払って欲しい」という方もいるでしょう。現在のインターネットを通じた仕組みでは、個人が課金するというのは困難なわけですが、Whispernet を通じて購読/Amazon に課金してもらうというルートが確立されれば、「有料ブログ」というものがもっと楽に実現できるようになります。「ブログを読むのにお金を払う人がいるか?」という問題は別にして、ブログの新しい可能性を開くものではないでしょうか。
ということで、日本でも Kindle の発売と、対応サービスの開始が待ち望まれるところです。
< 追記 >
ITmedia でも記事が出ていましたので、リンクしておきます:
■ Amazon、ワイヤレス機能つき電子書籍リーダー「Kindle」発売 (ITmedia News)
むむむ……「ネットワーク接続料金は無料で、通信プランへの加入なども不要」ですか。これはますます気になります。
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