今日の日経産業新聞に載っていたニュース。もしかしたら既に有名なニュースなのかも。人工知能(AI)が人間とチェスで対戦する、などといった話をよく聞きますが、クロスワードパズルで対戦するというイベントが先月末にあったそうです:
■ 眼光紙背 -- 機械が出題?未来のパズル(日経産業新聞 2006年9月7日 第24面)
8月末にイタリアで開かれた人工知能学会の関連行事で、地元シエナ大学が開発した「ウェブ・クロウ(Web Crow)」というソフトウェアが、25人の学者たちとクロスワードパズルで対決したそうです。結果は・・・
■ Computer beats humans at crosswords (ANSA.it)
ということで、コンピュータの勝ち。言語に関係する複雑なゲームにおいても、機械が人間を凌駕する時代がやってきたわけです。と書くと感情的過ぎますが。
人間が負けたという点はもちろんインパクトがあるのですが、勝敗より注目したい点は、このソフトの仕組み。なんと、ネットの検索エンジンと連動し、ネットを巨大な辞書(参考書と言うべきか?)として使っているのだそうです:
Webcrow, the first Italian software able to tackle a crossword, uses the Internet as a gigantic library. (中略) The Web Crow software gleans all this knowledge by studying the millions of texts available on the Internet and examining the relations words can have to each other.
「クロスワードパズルを解く最初のイタリア製ソフトウェアであるウェブクロウは、インターネットを巨大な図書館として利用する。(中略)ウェブクロウはインターネット上に存在する無数のテキストを学習し、そこにある単語の関連性を解析することで知識を得る。」
また日経産業の記事では、以下のように解説されています:
設問からキーワードを抜き出してネットで検索し、関連性の高い言葉を候補として選び、試行錯誤で当てはめながら正解にたどりつく。この方式だと時事問題にも対応でき、もし日本語を覚えさせれば、「怪獣の名を持つ刑事被告人は?」ぐらいの問題は解いてしまうらしい。
おぉ、なんて素晴らしい。まるでタチコマ(略
ただしカンの鋭い方はお気づきかもしれませんが、この方式を採用した場合、ネットから取得できる情報量がソフトの頭の良さを左右します。今回のコンテストでは、英語とイタリア語で問題が出題されたそうですが、人間が負けたのは「英語で出題された場合」と「英語とイタリア語の両方で出題された場合」の2つのケースで、「イタリア語で出題された場合」には人間が勝ったのだとか。ウェブ・クロウ開発者の一人は、この現象について「恐らくイタリア語のテキストよりも英語のテキストの方がはるかに豊富だったことが原因だろう」と分析しているとのことです。
というわけで、ウェブ・クロウに日本語を覚えさせたとしても、まだ人間の方が勝てる余地がありそうですね。ただしこの技術を利用すれば、逆に問題の方をコンピュータが作ることが可能になるそうで、「機械の作ったクイズを解けない人間」は続出しそうです。
考えてみれば、既にビデオゲームにおいてはコンピュータがコントロールする中で人間が遊んでいるわけですし。これからは言語に関するゲームにおいても、機械が自動的に出題するというのが一般的になるのかも。時事問題にも対応できるということは、受験生や社会人の勉強にもAIが活用されるかもしれませんね。
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