これは単純に見ているだけで美しいサイト。デザインやインターフェースに興味のある方は、参考になる部分があるかもしれません(via information aesthetics):
Jonathan Harris というアーティストの方のサイト。副題に"A storytelling experiment"とあるように、ある物語を追体験するように作られた、実験的なサイトです。その物語というのが"Whale Hunt"(クジラ狩り)なわけですね。
2007年の5月、Harris さんはアラスカのエスキモーたちと9日間を過ごし、様々な写真を撮ったとのこと。その中の7日間(5月1日から7日まで)に撮られた写真3,214枚を、スライドショー形式で見せるというのがこのサイトの基本になります。
まずアクセスすると、写真の一覧画面になります。ここでは「モザイク」「タイムライン」などのメニュー(画面右下)が用意されていて、それぞれサムネイルが並ぶこととなります。上のスクリーンショットは、「ピンウィール(風車)」という形式で並べたところ。マウスオーバーするとまるで小魚が逃げるかのように、サムネイルがパーッと動きます。
この「ピンウィール」、実はサムネイルを時系列で並べたものの始点と終点をつなげたものなのですが、線が同じ太さになっていないことが分かりますよね。実は線の太さは撮られた写真の数を示していて、太ければ太いほど、短時間で多くの写真が撮られたことになります。すなわち、太ければ太いほど「写真を撮らずにはいられないような体験があった」ということを示しているわけですね。
実際に、線が太い部分から1枚を選んでみたのがこちら。おぉ、巨大なクジラを仕留めたところのようです。画面下部には「タイムライン」が表示されていて、ここから他の時間帯に移ることもできます。もちろんスライドショーなので、ここから写真がどんどん切り替わっていくのを眺めていることも可能。
そしてもう1つ面白いのは、フィルタの設定方法。写真は様々な条件でフィルタをかけ、望みの写真を探すことができるようになっているのですが、そのインターフェースが洒落ています。以下のスクリーンショットは、写っている「人」でフィルタを設定するところ:
画面中央にある数字は、現在の条件にヒットする写真の枚数。フィルタの条件には、この他にも「コンセプト」「コンテキスト」などがあり、複数の条件を設定すればそれだけ中央の数が減っていくことになります。
そしてフィルタ条件の1つ、「リズム(cadence)」がこちら。これは「5分間で何枚の写真が撮られたか」を示していて、ハートが多ければ多いほど、写真の数が多かった場面=興奮するような場面の写真が選ばれます。上のスクリーンショットは、ハートの数が最も多い「RACING」を選んで「OK」を押そうとしているところですが、これを選択すると……
このように、クジラを陸に揚げようとしている写真が出てきました。これは確かに興奮の瞬間でしょうね。
という実験的なインターフェースが組み込まれたスライドショーなのですが、単にアラスカ旅行記として見ているだけでも楽しめるサイトですよ。お時間があるときに是非どうぞ。
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