今日、新聞等々で見かけたネタをずらずらと。
« 2009年5 月 | メイン | 2009年7 月 »
今日、新聞等々で見かけたネタをずらずらと。
投稿情報: 16:48 カテゴリー: Green Tech, ニュース | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
Pew Charitable Trusts から Green Tech 関連のリサーチが発表されていますので、ご参考まで。いわゆる「グリーンな仕事」が米国のどこで生まれているのかを調査したものです(via Green Inc.):
■ Pew Finds Clean Energy Economy Generates Significant Job Growth (Pew Charitable Trusts)
一口にグリーンな仕事といっても様々な定義があると思いますが、この調査では"clean energy economy"(クリーンエネルギー関連産業、とでもいったところ)に従事する仕事とされ、さらに"clean energy economy"が以下のように定義されています:
According to Pew, “a clean energy economy generates jobs, businesses and investments while expanding clean energy production, increasing energy efficiency, reducing greenhouse gas emissions, waste and pollution, and conserving water and other natural resources.” It comprises five categories: (1) Clean Energy, (2) Energy Efficiency, (3) Environmentally Friendly Production, (4) Conservation and Pollution Mitigation, and (5) Training and Support.
Pew は"clean energy economy"を、「クリーンなエネルギーの創出を拡大し、エネルギー効率を高め、温室効果ガスおよび廃棄物の排出を削減し、公害の発生を抑え、水などの自然資源を保全する一方で、雇用やビジネス、投資を生み出すもの」と定義している。またそれを構成するものとして、次の5つのカテゴリーが存在している:(1)クリーンエネルギー、(2)省エネルギー、(3)環境に配慮した生産、(4)環境保全と汚染緩和、(5)トレーニングとサポート
具体的な職業名については、レポート本文(※PDFファイル)の43ページに掲載されている"Exhibit A1"を参照してみて下さい。
で、調査によってどんなことが明らかになったのか。リリースによれば、
The number of jobs in America’s emerging clean energy economy grew nearly two and a half times faster than overall jobs between 1998 and 2007, according to a report (PDF) released today by The Pew Charitable Trusts.
Pew Charitable Trusts が本日発表したレポートによると、1998年から2007年までの期間で、クリーンエネルギー・エコノミー内の雇用数は米国経済全体の雇用数よりも約2.5倍早く成長した。
とのことで、当然ながら「クリーンエネルギー・エコノミー」がここ10年で他の産業よりも成長しているよということが指摘されています。では具体的にどの辺りでグリーンな仕事が生まれているのか、というと:
こちらは32ページに掲載されている Exhibit 12。各州の全雇用数と、その中で「グリーンな仕事」が占める割合を示したものです(ちなみに全米平均の「グリーンな仕事率」は0.49%)。割合が高い州ほど緑が濃くなり、低い州ほど茶色が濃くなっています。ちなみに2007年時点で「グリーンな仕事率」が最も高かったのはオレゴン州の1.02%。実はオレゴン州は「グリーンステート」を売り文句にしており、太陽光発電産業などを積極的に推進しています(参考記事)。
さらにこちらは29ページの Exhibit 10。こちらは2007年時点での各州毎の「グリーンな仕事」雇用数と、1998年~2007年の期間の成長率を示したもの。さらに緑色で塗られている州は「グリーンな仕事」雇用数が多い州で、緑色の濃さは成長率の大きさ(濃いほど高成長で、薄いと逆にマイナス成長)を示しており、茶色で塗られている州は同雇用数が少ない州で、茶色の濃さは成長率の大きさを示しています。ここでもオレゴン州が良い成績を残していますが、テネシー州も濃い緑色で塗られているというのは、やはりTVA(テネシー・バレー・オーソリティー、ルーズベルト大統領の元祖ニューディール政策で生まれた米国最大の公営ユーティリティー企業)があることも影響しているのかもしれません。
その他、資料では公共政策やベンチャーキャピタルの重要性についても考察されていますので、興味のある方はぜひご一読を。
投稿情報: 11:22 カテゴリー: Green Tech | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
昨日の朝日新聞で、サッカーの前日本代表監督であるイビチャ・オシム氏のインタビューが掲載されていました。相変わらずのオシム節が健在で嬉しくなってしまったのですが、さらに嬉しいことにネットでも公開されていますので、ちょっとご紹介:
■ 日本代表にオシムが期待するもの (asahi.com)
オシム氏の言葉は厳しいながらも、どこかに必ずポジティブなメッセージが含まれている点が良いですよね。このインタビューでも、「なぜ日本代表が『東アジアのバルセロナ』になれそうにないと言うのかね?」などといった発言が出ています。
そして最後の言葉:
――最近の体調は。
「私は医者じゃない。だが、脳梗塞(こうそく)の後にこれほど回復したのは奇跡だということは知っている。医療実験の動物みたいなものだ。リハビリでも、ああしろ、こうしろと。生き延び、自分の頭で考え、話すことができる。驚くべき成功だよ。
すべては可能だ。唯一不可能なものは『木製の暖炉』だけだ。南アフリカで日本が決勝まで勝ち進んだら、ここグラーツで仲間と一緒に観戦したいものだ」
いや、是非とも決勝まで勝ち進んで欲しいものです。少なくとも「木製の暖炉」を作るよりは可能性が高い話ですよね。
投稿情報: 08:29 カテゴリー: スポーツ | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
小ネタなのですが、なるほどな話なのでちょっとご紹介。クラブツーリズムという旅行会社が、高齢者向けに「歩かないツアー」を発売したそうです:
■ ~歩行時間を短くした、からだにやさしい旅をご提案します~『長い距離は歩きません!の旅』の募集を開始いたしました (※PDFファイル)
もともとクラブツーリズムの顧客は高齢者が多く、これまでも「バリアフリーお遍路」など、高齢者や体の不自由な方でも参加できる企画を開発してきたとのこと。で、今回発表になったのが「長い距離は歩きません!」というコンセプトの商品で、
従来のツアーにご参加いただいているお客様から多く頂戴している「観光地で長い時間歩くことへの不安」にお応えすべく、歩く距離をできるだけ短くしたツアーであり、また車いすや杖を利用されているため旅行へのご参加を見合わせていたお客様などにおすすめできる内容となっています。まさに、広く高齢者のお客様に安心をお約束するツアーでもあります。
「長い距離を歩かない」とは、「歩いても5 分以内には座ってお休みいただける場所がある」ということで、従来は観光地で、バス駐車場から長い距離を歩くような場合も、マイクロバスやタクシーで移動したり、また1 日の行程にゆとりを持たせることで早めに宿泊施設に到着するなどの工夫を凝らしています。
と、歩くことに不安を感じる人でも参加できるような設計がなされています。また単にクルマでの移動を多くするだけでなく、例えば長野県の高瀬渓谷を訪ねるツアーでは
通常は限定車両のみ通行できる渓谷の区間をバスの
到着に合わせて限定車のタクシーを利用し、高瀬ダムの目の前まで行きます
などの工夫がなされているとのこと。これならば「自分の車で行く」という以上のメリットが得られるわけですから、人気が出るのではないでしょうか。
一方で今日はこんなニュースも:
■ 75歳以上の25%「ほぼ毎日運転」 自工会調査 (NIKKEI NET)
日本自動車工業会(自工会)が実施したアンケートによると、75歳以上のシニアドライバーの25%が「ほぼ毎日運転」していることが分かった。高齢化が進む中、シニアドライバーの人口は増え続けており、今後は交通事故の発生率が高まる懸念もある。一段の公共交通の環境整備が重要性を増している。
高齢者は自動車の運転をしない、というのがいちばん安全なのでしょうが、大都市のように公共交通機関が発達している場所でなければ難しい話です。旅行先では「歩かない」で大丈夫だったのに、帰ってきたら自分で歩くか、事故のリスクに晒されながらも運転するかしかない……という本末転倒な事態が広まらなければ良いのですが。
投稿情報: 13:59 カテゴリー: ビジネスモデル | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
昨日のエントリで行動経済学の本をご紹介したので、今日はその関連で。このブログでお馴染み『予想どおりに不合理』の著者、Dan Ariely が、Harvard Business Review の June 2009 号で短いエッセイを寄稿しています:
■ How Concepts Affect Consumption (HBR.org)
人間の購買行動は単純なものではなく、「コンセプト(このブランドが好きだから買う、などのように付随的な意味を与えるもの)」という不合理な要素が絡んでるよ、というまさしく行動経済学の王道のような記事ですが、こんな実験が紹介されています:
Pursuing a goal can be a powerful trigger for consumption. At a convenience store where the average purchase was $4, researchers gave some customers coupons that offered $1 off any purchase of $6, and others coupons that offered $1 off any purchase of at least $2.
ゴールを追わせるというのは、消費を起こす強力な引き金となる。一人のお客が平均して4ドル使うコンビニエンスストアにおいて、ある実験が行われた。あるお客には「6ドル買ったら1ドル割引」というクーポンを、別のお客には「2ドル以上買ったら1ドル割引」というクーポンを与えたのである。
で、どうなったか。合理的に行動しました、という結果だったら面白くないので、だいたい結果は予想できると思いますが:
Customers who received the coupon that required a $6 purchase increased their spending in an effort to receive their dollar off; more interestingly, those customers who received the coupon that required only a $2 purchase to receive the dollar off actually decreased their spending from their typical $4, though of course they would have received their dollar off had they spent $4. Consuming the specific goal implied by the coupon—receiving a savings on a purchase of a designated amount—trumped people’s initial inclinations. Customers who received the $2 coupon left the store with fewer items than they had intended to buy.
6ドルの購入が必要なクーポンを渡されたお客は、割引を手に入れるために、支出額を増やした。より興味深いことに、2ドルだけで割り引いてくれるクーポンを手にしたお客は、通常の場合の平均4ドルよりも少ない額を使うようになった(もちろん4ドルでも割引が行われるにも関わらず、である)。クーポンに提示されてるゴール(割引を手に入れるために一定額を支払う)を達成しようという気持ちが、人々の最初の考えを上書きしてしまったのである。2ドルで割引が得られるクーポンを受け取ったお客は、彼らが最初に買おうとしていたものよりも、少ない品物を手に店を離れることになった。
とのこと。「~という行動を取れば」という条件提示が、人々の行動を左右してしまったわけですね。心理学的には、いわゆる「アンカリング」に近い話だと思います。
同じような話は、昨日ご紹介した『人は勘定より感情で決める』にも登場します。恐らくこちらの方が身近な例でしょう:
アンカリングが使われている例は、何も値引き表示だけではありません。スーパーマーケットの特売セールなどで、「お1人様5個まで」といった個数制限をつけて売るところもよく見かけるのではないでしょうか。
私は以前「せっかく買ってくれるお客さんに対して、何もわざわざ積極的に制限をつけることないのに」などと思っていたのですが、じつはここにもお店にとってメリットのあるアンカリングの効果が隠されていたのです。
「お1人様XX個まで」とう表示つきの場合、XX個という数字にアンカリングされて、XXに近い個数を(本来買い手が必要な個数より多く)買ってしまいます。「お1人様XX個まで」という表現に何か急かされているような状況に追い込まれてしまい、個数制限がなければ2個で良いのに、3個も4個も買ってしまうのです。タイムサービスのような時間制限が加わればなおさら効果があるのは言うまでもないでしょう。
ということで、何でもいいから行動のガイドラインとなるようなものを置いてしまえば、消費者や利用者はそれに従ってしまう可能性が高いと。自分が利用される立場になった場合には注意が必要ですが、こちらが商品やサービスの提供者となった場合には、ちょっと使ってみたいテクニックでもありますね。少なくとも冒頭の例のように、人々の意図よりも低いゴールを設定してしまう(そしてその低いゴールを達成した時点で満足されてしまう)という事態だけは避けるように注意が必要かもしれません。
投稿情報: 11:41 カテゴリー: 科学 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
これはナイスアイデア。AR(拡張現実)技術というと、現在はゲームや広告などといった用途が主流ですが、非常に実用的な活用例が登場しました。米国の郵便局である、USPS(United States Postal Service、米国郵政公社)が立ち上げたサービスです(via Marketing VOX):
■ USPS Priority Mail - Virtual Box Simulator
グダグダ説明するより、紹介ビデオを見てもらった方が早いかもしれません。特にARモノということで、実際の姿を見てみないと便利さが分からないですしね:
サイトで提供されているUSPSのロゴマーク(ちなみにワシを象ったもの)を印刷し、それをウェブカムに写すと、実際に使われている梱包用の箱と同じサイズの「バーチャル・ボックス」が画面上に現れます。この「バーチャル・ボックス」は半透明になっているので、今から送ろうとしているモノが入るかどうか確認することが可能。箱のサイズは数種類あり、画面上で切り替えることができるので、あとはどの箱がピッタリなのか確認すればOK、と。逆に「このサイズだと少し余るから、一緒にコレも送ってあげよう」などといった感じで、箱のサイズに合わせて送るモノを調整するといった使い方も可能かもしれません。
ちなみに送料もサイト上で同時に確認できて、さらに箱のオーダーも可能とのことですから、ちゃんとその後のサービスにつながる設計がなされているようです。エンターテイメントとしてのARももちろん楽しいのですが、こうした実用的で、実サービスとうまく連動している応用例が登場してくれば、ARの普及は一層加速するのでしょうね。
投稿情報: 07:00 カテゴリー: ウェブ・技術 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
技術評論社の傳様より、新しく発売される『人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク』という本をいただきました。ありがとうございます。というわけで簡単に書評などを。
最近、行動経済学やその周辺分野を扱った本が流行っています。僕も過去に『予想どおりに不合理』や『人は意外に合理的』などといった本を紹介していますが、サブタイトルにばっちり書かれている通り、本書もその1つ。内容は初歩的で具体例も多く、肩肘張らずに読めると思います(行動「経済学」とはいえ人間心理の側面に焦点が当てられていますので、数字の話は苦手という方でも大丈夫)。
本書の最大の特徴は、本書自らに語ってもらうとしましょう:
行動経済学に関するほかの文献は、個々のバイアスを“点”で紹介するだけのものが多数です。しかし、それでは“点”の理解が“線”や“面”に結びつきません。結果として。そこから発展しないままで終わってしまうのはもちろん、すぐに忘れ去られてしまいます。
そのフラストレーションを解決すべく作成したのが、本書の見返し(表紙の裏)に掲載した体系図です。
流石に体系図を転載するわけにはいかないので、ご興味のある方は本書を手に取ってみて下さい。確かに行動経済学(に基づいたエッセイ)の本というと、「実験の結果、こんな面白いことが分かりました」という話が続くだけで、それらが全体としてどんな関係を持つのか?という点まで解説されているものは少ないという印象です。本書ではこの体系図があるため、ある現象(フレーミングやヒューリスティックなど)に類似した現象があるか、他の現象とどう関係しているか等を把握することができ、知識を覚えて役立てることがしやすくなっています。類似書に比べて内容量は少ないため、掘り下げという点では弱いですが、「読んだだけで満足はしたくない」という方には最適でしょう。
(※ただしこれも本書自ら述べている通り、「行動経済学の範囲をどこまでと捉えるか」「バイアス間のつながりをどのように捉えるか」については様々な考え方があるため、この体系図を「唯一絶対的なもの」とは捉えず、行動経済学全体を理解して頭に留めておくためのツールとして使って欲しいとのことです。)
もう1つ実践派にとって嬉しいのは、「この知識は現場でこう役立てられるのではないか」という具体例が挙げられていることです。例えば保有効果(人は自分が所有するものに、そのものの実際の価値よりも高い価値を感じてしまうこと)に関する部分で、こんなアドバイスが述べられています:
たとえば、車の乗り換えを検討している顧客に対して、次の条件で下取りまで含めて価格の見積もりを出すとします。
- 新車価格(税金・諸費用込) 200万円
- 値引き額 20万円
- 下取り価格 80万円(市場価格)
(中略)
しかし、保有効果をふまえてこれに手を加えると、次のようなアプローチが考えられます。
- 新車価格 200万円
- 値引き額 5万円
- 下取り価格 95万円
(中略)
このアプローチでも、差し引き100万円になる点は同じです。しかし、顧客の車を「95万円」と市場価格である80万円から15万円も高く見積もっている点に注目して下さい。これによって顧客の保有効果によるバイアスを(意図的に見積もり内容を変えることで)補正し、下取りに出す心理的抵抗を下げることで、新車を購入する確率を上げているのです。
非常に単純化された話ですが、理論をどうやって仕事に役立てることができるのか。こういったサンプルがあることで、ひらめきがグッと出やすくなるでしょう。
ということで、最近話題の行動経済学をサッと把握したいという方、また「もう行動経済学の本は何冊も読んでるよ(けれど仕事で活用はしてないなぁ)」という方にお勧めの一冊だと思います。もちろん理論を活用したワナ、あるいは自分の頭が作り出す幻想にはまるのを防ぎたい、という方もどうぞ。
投稿情報: 19:44 カテゴリー: 書籍 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (1)
電気自動車(EV)を産業として後押ししている国というと、日米欧が中心であることは間違いないと思います。しかし今朝の日経産業新聞(2009年6月11日号第9面)によれば、そこにシンガポールが名乗りを上げているとのこと。しかもなかなかユニークな手段を考えているようです。
記事を簡単にまとめてみると、以下のようになります:
こんな感じ。EVは単にガソリンが電池に置き換わるというだけの話ではなく、産業や社会の構造を一変させてしまうことが予想されています。つまり自動車本体だけでなく、インフラなどの関連テクノロジーも重要になってくるわけで、シンガポールはそこに目を付けていると。当然ながら「実験室」としての役割だけでも多くのカネとテクノロジーを手にできるでしょうし、それを対外的に輸出するという道も開けてきます。なるほど。
ネット上で日本語での関連記事は見つからなかったのですが、英語で以下の2つが見つかりました:
■ Time to get electric vehicles up to speed (Asiaone Motoring)
この記事によると、実はシンガポールのEV関連の取り組みは古く、1990年代から政府や実業家によって活動が行われてきたとのこと。またシンガポール国内の企業ではないですが、シンガポール生まれの人物が設立した"Advanced Lithium Power"という会社が Fisker Karma 向けリチウム電池を作っているよ、という話も出ています。
■ Renault-Nissan Alliance announces partnership with Singapore Government for Zero-emission Mobility (IEWY News)
こちらは日経産業の記事にも出て来た、ルノー・日産連合とシンガポール政府との提携に関する記事。こんなコメントが登場しています:
“EV development is an exciting new area particularly relevant to the Singapore context. Singapore is well-positioned for the deployment of EVs due to our relative small size, urban environment, robust electrical grid and IT infrastructure,” said Mr Lawrence Wong, Chief Executive, EMA.
「EV開発は、シンガポールの風土に適した素晴らしい分野である。シンガポールの国土は比較的狭く、都市化されており、堅固な送電網とITインフラを備えるなど、EV開発に最適だ」と、EMA(※Energy Market Authority、シンガポールの政府系組織)最高責任者の Lawrence Wong 氏は述べた。
確かにそういえば、シンガポールはITに力を入れていることでも有名でしたね。シリコンバレーでもEV/電力関連ベンチャーが増えているそうですが、似たような立ち位置でEV関連産業を育成することを狙っているのかもしれません。
もちろん単独の技術の優位性という面では、日米欧が圧倒的に優位な位置にいるはずです。しかしそれらをどう組み合わせ、どのような社会システムを構築するかについては、まだまだ定まった答えは出て来ていません。例えば「大都市の充電ステーションはどう運営されるべきか」というノウハウ1つでも、先に経験を積んだ国(ex. 今回のシンガポール)の企業が優位にビジネスを進められるでしょう。あまり適切な例ではないかもしれませんが、政治的混乱からテロに悩まされ続けたインドが「テロ対策」というノウハウを手にし、いまや世界各国から軍・警察関係者がインドに訓練を受けに来るようになっているように(ソースはNHKスペシャル「インドの衝撃」)。
ということで、EVまわりでは意外な国から重要なプレーヤーが飛び出してくるのかもしれません。そういえば「EV本体は安価で提供し、充電インフラ使用料で儲ける」というユニークなビジネスモデルを提唱しているベタープレイスは、CEOがイスラエル人のシャイ・アガシ氏(実は独SAPのCEO候補だったこともある人物)であり、実証実験もイスラエルを始めとした国々で行われています。彼らのビジネスが成功するかどうかは別にして、様々な可能性の萌芽に注目しておかなければいけないのかも。
投稿情報: 18:45 カテゴリー: Green Tech | 個別ページ | コメント (1) | トラックバック (0)
「環境にやさしい」が次世代の自動車のキーワードということで、事実プリウスが世界各国で売れているようですが、実際どこまで変化が起きつつあるのか。米国を対象としたものですが、地図上で状況を確認できるサイトが登場しました(via earth2tech):
■ TransAtlas (National Renewable Energy Laboratory)
米国のNREL(国立再生可能エネルギー研究所)が Google Maps を活用して立ち上げたサイト。ちょうど Google Earth と同じ操作感で、米国内のFFV(フレキシブル燃料車)やディーゼル車、ハイブリッド車の普及状況、またバイオディーゼル燃料が補給できるスタンドや充電スタンドの所在地などが確認できるようになっています。例えば以下は、ハイブリッド車の普及状況をオーバーレイさせたところ:
黄色いエリアは5平方マイル(約8キロメートル四方)内に5~45.5台が、緑は同じく45.5~91台が存在していることを示しているのですが、やはり主に東海岸のボストン-ワシントンD.C.間と、カリフォルニアを中心とした西海岸周辺に集中しているようですね。ちなみに充電施設の位置を載せてみるとこんな感じ:
充電施設はプラグインハイブリッド車、および純粋な電気自動車に必要な施設なわけですが、こちらはまだカリフォルニア州周辺にしか整備が進んでいないことがわかります(ご存知の方も多いと思いますが、カリフォルニア州は歴史的な背景+シュワルツェネッガー州知事のイニシアチブで、環境問題への取り組みが全米に先駆けて行われてきた地域)。とはいえ現時点でこれだけ整備されていればたいしたもの、なのかもしれませんが。
蛇足気味に、以下は燃料電池自動車用の水素ステーション所在地。日本ではJHFC(水素・燃料電池実証プロジェクト)によって国内に11基の水素ステーションが設置され、実証実験が行われていますが、米国ではこんな感じ:
こちらもカリフォルニア州に集中が見られますが、意外な州でも設置されているといった印象でしょうか。いろいろと遊んでみると、各州の状況や思惑のようなものが見えてくるかもしれません。また今後もデータがアップデートされていくでしょうから、どんな変化が起きてくるか注目ですね。
投稿情報: 19:47 カテゴリー: Green Tech | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
いつものようにファーストフード店に入るあなた。ストローを袋から取り出し、シェイクを吸い上げようとするのだが……口の中には何も入ってこない。実はこれ、ポルトガルの保健省が実施したキャンペーンとのこと:
■ Ministry of Health: Clogged straw (Ad of Da Month.com)
真っ赤なストローにはこのように書かれています:
High blood cholesterol will do the same to your arteries. Watch what you eat.
高コレステロールはあなたの動脈に同じことをもたらします。食べ物に気をつけて。
つまりストローは血管に見立てられていて、コレステロールで詰まって血液が通れない……という状態を実感してもらうと。こんなキャンペーンに進んで協力する飲食店があるとは思えないのですが(笑)、とにかくインパクトは大きいですよね。
昨日もご紹介しましたが、ちょうど今週の『週刊 東洋経済』(2009年6/13号)の特集は「広告」。100年に1度の大不況を受けて、広告業界の主要プレーヤー達がどのように生き残りを図っているのかを追ったものですが、そのなかにこんな一節があります:
「待っていてはダメ。こちらから仕掛けろ」――。かつてない逆境の中、電通は今、変身を遂げようと必死だ。そこで成果を上げつつあるのが、冒頭のフード・アクションを含む公共政策キャンペーン事業だ。
生物多様性(環境省)、オリンピックの東京招致活動(東京都)……。電通は次々と公共政策キャンペーンを手掛けつつある。昨年7月には、専門部局のソーシャル・プランニング局を創設。上條典夫ソーシャル・プランニング局長は「今人員は47人いるが、観光や新エネルギーなど国の政策に関連して引き合いがすごい。人が足りない状態だ」とうれしい悲鳴を上げる。
企業から広告市場へと流れるお金が減るという事態が続いたら、日本でも冒頭のような、手の込んだ公共キャンペーンが展開されるようになるのでしょうか。「メタボ」という言葉1つで新しいマーケットが立ち上がったように、どんな分野でもPRが重要ということには変わりありませんね。
投稿情報: 13:43 カテゴリー: 広告 | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
最近のコメント