今日はこんなイベントに参加中です:
■ 10月4日(木)MBTブロガーミーティングのお知らせ (AMNブログ)
アジャイルメディア・ネットワークのイベント。なんだかすごいテクノロジーが使われている靴「MBTシューズ」を体験する、という内容です。さっそくお借りしてはいているのですが……おおっ、なんだこのフワフワした感覚は!
レポートはのちほど。
今日はこんなイベントに参加中です:
■ 10月4日(木)MBTブロガーミーティングのお知らせ (AMNブログ)
アジャイルメディア・ネットワークのイベント。なんだかすごいテクノロジーが使われている靴「MBTシューズ」を体験する、という内容です。さっそくお借りしてはいているのですが……おおっ、なんだこのフワフワした感覚は!
レポートはのちほど。
投稿情報: 19:27 カテゴリー: マーケティング | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (1)
昨日の日経MJに、「DSソフト『趣味・教養』3倍に」という小さな記事が載っていました。ああ、やっぱりDSはそっち系のソフトが増えるんだなーと思っていたら、これはスクウェア・エニックスが打ち出した方針とのこと。
スクウェア・エニックスは出版社などと組み、任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」用の趣味・教養ソフトを拡充する。同分野のソフトは今年7月から旅行関連など5作品を発売しているが、グルメ関連2作品など年内に10作品を新たに発売。主力のロールプレイングゲーム(RPG)などと比べて売れ行きが安定しているため、今後も拡充してゆく。
(中略)
趣味・教養ソフトは「ドラゴンクエスト」などのRPGに比べて開発費も低く、開発にかかる期間も短い。ソフトの種類を増やすことで同社のDS向けソフトの認知度を高めていく。
スクエニといったらやっぱりRPG、というイメージなのですが、「安定した売上が見込めて」「開発コストが小さく」「短期間で開発できる」趣味・教養ソフトはやっぱり魅力的なのですね。一方の出版業界にとっても、DSソフトはいわゆる「出版不況」の打開策になりそうだし、しかも既に持っているコンテンツを応用できるわけですから、やっぱり魅力的だと。これからますます「ゲーム業界×出版業界」というコラボが当然になるのかもしれません。
ちなみに関連ニュース:
あと、これは出版社と組んだものではないですが:
なんてのもありました。これだとティップネスの店頭(フィットネススクール)で売る、とかいう経路も考えられるんでしょうね。
一方で出版社と組んだ場合、開発したソフトが主に流れる販路が書店になった……としたら、出版業界が主導権を握って、ゲーム業界は「デジタル版印刷屋」のような地位に追いやられる可能性もあると思います。極端かもしれませんが、出版社と組んだ趣味・教養ソフトが大ヒットしたら、出版社は「もっと取り分をよこせ、さもないと他のゲーム会社に乗り換えるぞ(高度な開発力なんて必要ないんだから)。しかもお前らに『本』を売るノウハウなんて無いだろ」と言い出せるわけですし。仮に「趣味・教養」が「RPG」と並ぶ収益の柱になったとしても、スクエニ的に不安な状況は残るのでは。
彼らの名前は「夕張夫妻(ユウバリフサイ)」。夫は「夕張父さん(夕張倒産)」で、妻は「夕張まっ母さん(夕張真っ赤)」。353億円の負債(フサイ)を抱えながらも頑張って生きていて、座右の銘は「金はないけど愛はある」なのだそうです:
■ 新キャラクター:「夕張夫妻」 「負債」353億円逆手に (MSN毎日インタラクティブ)
ということで、「夕張」の名前で想像できたと思いますが、「財政破綻した地方自治体」としてすっかり有名になってしまった夕張市のキャラクター。広告会社のビーコンコミュニケーションズが考案したものとのこと。キャラクターは「(夕張を励まそうとする)意図に反しない限り」無料で自由に利用可能だそうですので、このエントリにも画像を貼らせていただきました。
夕張市と言えば、財政破綻の原因となった現場が巡れる「負の遺産ツアー」を企画したというニュースもありましたね(参考記事)。すっかり「財政破綻」を売り物にしている感がありますが、いや冗談抜きで、その姿勢は素晴らしいと思います。ウチにはこれといった経営資源もなくて、と嘆いているような会社は、失敗という体験をも資源に変えている夕張市に学ぶべきでしょう(ってもちろん、注目すべきは破綻後の取り組みですが)。
投稿情報: 17:47 カテゴリー: マーケティング | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
昨日の朝日新聞で紹介されていたニュース。実は2004年から始まっているそうですが、杉並区立中央図書館でこんなイベントを開催しているそうです:
新刊本には宣伝のため、「帯広告」が巻かれていますよね。その「帯」を自作し、好きな本を宣伝してもらおうというイベント。「お気に入りの一冊に、その本が読みたくなるような帯広告を掛けて応募してください」という指定があるだけで、用紙の種類・字体・字数は自由。短い文に写真やイラストを入れても良い、とのこと。ただし応募資格があるのは杉並区内在住・在学・在勤の小学生から18歳までとなっています。
この企画、若者にもっと図書館を利用してもらおうと始められたイベントとのこと。「課題図書を押しつける読書感想文ではない」という位置づけのため、上記のように本の内容は限定されていません(マンガや図鑑でもOK)。また体裁も自由のため、過去の開催では、「犬をテーマとした本の帯を骨の形にした小学生」や「折り紙の本に折った折り紙を貼り付けた子供」などの応募者がいたそうです。こうした自由な姿勢が理由からか、初めて開催した2004年は応募数約200点だったのが、昨年は3倍強の約650点にまで増えたとのこと。
いや、「人は自分の意見を言いたくなってしまう」「他人の意見を参考にしてしまう」存在だということは、最近の WEB2.0 系サービスが明らかにしているわけですよね。言ってみれば、Amazon のカスタマーレビューのリアル版。「帯広告」なので字数が少なくてもよく、デザインを工夫できるという点で、それよりも手軽で面白い仕組みかもしれません。いいアイデアだなぁ。
しかし対象を子供・若者に限定しなくてもいいかもしれませんね。確かに始められたきっかけは「若者に図書館を利用してもらうため」だったかもしれませんが、あなたも「帯」を作ってみませんか?と呼びかけられたら、応えてしまう大人も多いと思います(とりあえず僕は参加してみたい!)。また図書館だけでなく、書店にも「逆輸入」が可能なアイデアではないでしょうか。
ちなみに過去の参加者には、『塩狩峠』の帯に大きな文字で「犠牲」と書いた小学生がいたとのこと。うーん、あなどれないですね……。
投稿情報: 08:44 カテゴリー: マーケティング | 個別ページ | コメント (2) | トラックバック (0)
最近"Chasing Cool: Standing Out in Today's Cluttered Marketplace"というブランド論の本を読んだのですが、その中でバーニーズ・ニューヨークでアルマーニの商品を扱うことになったいきさつが描かれています。ある日、著者の一人である Gene Pressman さんが父親の Fred Pressman (バーニースの創業者 Barney Pressman の息子で、今日のバーニーズを創り上げた人物)に雑誌記事を見せられ、「このブランドをどう思う?」と聞かれたそうです。それこそ、まだ名前が売れる前のアルマーニ。Gene さんは「良いと思う」と答え、それがアルマーニを仕入れるきっかけになった……とのこと。ちなみにバーニースの公式ページ上では、アルマーニについてこんな言及がされています:
『ジョルジオ・アルマーニを初めてアメリカに導入したのはバーニーズ ニューヨーク』1970年代~
1976年には、革新的な才能を持つ新人デザイナーを発掘し育て続けることを標榜し、米国において初めてジョルジオ・アルマーニを紹介。アルマーニの導入によって世界最大のメンズストアとなったバーニーズ ニューヨークは、ニューヨークのファッションカルチャーの発信源としての存在を確固なものとするため、同年さらにウィメンズ部門をスタートさせました。
もちろん息子さんの一言だけで導入を決めたのではないでしょうが、"Chasing Cool"ではこの話の教訓として「もっと自社内にいる若い人々の意見を聞こう」と提唱しています。外部の知識を頼るのもいいけど、身近な存在からも重要なアドバイスが得られるんじゃない?ということですね。
で、本題なのですが、雑誌『宣伝会議』の最新号(2007年9月1日号)で「企業とブロガー~マッチポンプはあるか」という刺激的な(笑)タイトルの特集が組まれています。ただし内容はそれほど刺激的ではなく、このブログを読んでいただいているような方々には「どこかで読んだな」という内容がほとんど。ブログマーケティングとか、企業がブロガーと対峙する際の注意点とか、どれも概観をつかむような感じ。逆に全体像を知るには良いかもしれません。
こういった"overview"的な特集を組むことに価値がない、と言いたいのではありません。当然ながら、最近になって「ウチでもブロガーを気にした方がいいかな?」と感じ始めた企業もあるでしょうし。しかし、日本においてこれだけブログというものが普及したのですから、社内の若い人々の中で「ヘビーブロガー」を探すのは難しいことではないはずです。そしてそういった人々に話を聞けば、「ブロガーは何を考え、企業とどう付き合っていきたいと考えているか」はある程度把握できるのではないでしょうか。バーニーズが多くの時間とお金をかけて「アルマーニを導入すべきか否か」を調査せずとも、社内の声に耳を傾けるだけで決断が下せたように。
ということで、別に『宣伝会議』を読む前でも後でもいいのですが、企業で偉い立場に立っている方々には是非「社内でブロガー探し」をしていただきたいと思います。それだけでも随分、ズレたブロガー対応を行ってしまうリスクを減らせるはずだと思いますよ。
<追伸>
みたいもん!でいしたにまさきさんが「トクリキー」という新しい単位を提唱(?)していらっしゃいます:
■ ココロスキャン「ブログと体験」イベントはなぜ成功したのか (みたいもん!)
■ 運営側にブロガーがいることを示す指数「トクリキー」 (ネタフル)
「社内でブロガー探し」は、この「トクリキー」値を劇的に向上させる効果もあるはず、と思ってみたりして。
<さらに追伸>
"Chasing Cool"は公式サイトもあるので、一応リンクを。ご興味のある方はどうぞ:
先日、『プロパガンダ教本 ― こんなにチョろい大衆の騙し方』という本を買ってきて読みました。1928年発表ですから80年近く前に書かれたものなのですが、「W・リップマン『世論』と並び、PRマン、広告関係者必須のバイブル的な存在となっている」本とのこと。
内容はその名の通り「プロパガンダ」の効果と実践方法について。しかしここで言う「プロパガンダ」とは、「国が(主に悪い目的のために)大衆を扇動する」などという行為ではなく、今日ならどんな企業でも実践しているPR・マーケティング手法に近いです。著者のエドワード・バーネイズはあえて「プロパガンダ」というイメージの悪い言葉を本書のタイトルに使っているのですが、その辺の理由は彼の経歴に関係がありますので、興味のある方はこの本の訳者解説をご覧下さい。
さて、副題に「こんなにチョろい大衆の騙し方」とあるのでよっぽどあくどい方法が解説されているのだろうと期待(?)していたのですが、中身は意外にマトモでした。確かに紹介されている手法を悪用すれば、誤った考えを人々に植え付けることが可能でしょう。しかし著者のバーネイズは、倫理的規範を持って「プロパガンダ」手法を使用するように随所で注意しています。例えばこんな感じ:
PRコンサルタントという職業は、法律や医療の専門家に適用される倫理規範と比べても遜色がないほどの厳しい倫理規範を求められている。ある意味、PRコンサルタントの仕事が持つ性質によって厳格な規範を押し付けられているのである。弁護士と同じように、誰でも自分の主張は自分にとって有利なように示すのが当然であると認める一方で、それでもやはり、誠実ではないと思われるクライアントや、詐欺だと思われる商品や、反社会的だと思われる主張を宣伝するのは拒否しなければならない。(pp.76-77)
ただし、バーネイズ自身はそれほど倫理的な行動を取っていなかったようです。これも訳者解説に詳しいのですが、例えばタバコが健康に及ぼす害を知りながら、タバコを女性達に売り込むキャンペーンに参加していたとのこと。そんな背景があるので、出版社の方々はどうやら「著者のバーネイズはプロパガンダ手法を悪用し、大衆を騙していたとんでもないヤツだ。そんなヤツの主張だから、批判的に読まなければならない」と考えられているようです。それが「こんなにチョろい大衆の騙し方」という副題や、随所に掲載されている「プロパガンダは悪」なイメージ画像(例えばブッシュ大統領が9・11の現場を鼓舞する写真の横に「テロとの闘いを叫ぶブッシュ大統領、これもプロパガンダ」と書かれているものなど)となって現れているのでしょう。
繰り返しになりますが、この本は何も「大衆をダマせ!」と言っている本ではありません。確かに「大衆は導かれなければならない」的なエリート主義の要素も含まれていますが、その辺はこの本が書かれたのが20世紀初頭であることを加味して考えなければなりませんし、一方でこんな主張もされています:
また、一般大衆というのは、こちらの思うままに型にはめることができたり、あるいは一方的に命ずることができる無形の集団ではない。企業にも大衆にも、それぞれが持っている特徴がある。それらの間に、いかにして上手に折り合いをつけるかということが重要なのだ。双方が衝突したり、不信感を抱くような事態はどちらにとっても有害だ。
現代社会で活動する大企業は、どのようにすれば、そのパートナー関係を友好的で互いに利益をもたらすものにできるかということを研究しなければならない。企業の実体、理念、目標を一般大衆に理解できるように示すと同時に、彼らが望んで受け入れようと思うように示さなければならないのである。
大企業は一般大衆から指図されてもそれを快く受け入れようとしないものだが、だからといって、大企業の側でも一般大衆を直接に指図できるなどと考えてはならない。企業サイドは大衆の関心がかなり細かくなってきていることを認め、大衆の求めるものを理解して、それを満たそうと努力すべきなのだ。(pp.107-108)
ということで、現在盛んに唱えられている「顧客の声に耳を傾けること」的な議論も登場しています。この辺も極めて正統派、といった感じ。
そんなわけで、この本は『プロパガンダ教本 - こんなにチョろい大衆の騙し方』というより、原題のまま『プロパガンダ』で売り出して欲しかったように思います。変な煽りを入れてしまうと人々が敬遠してしまい、この本に含まれているナレッジが活用されないままになってしまうような気がするので。以下の引用に「なるほど」と感じられた方は、一度手に取ってみて下さい:
この目に見えない、互いに絡み合ったさまざまなグループと、グループ間に存在する相互のネットワークは、全体でひとつのメカニズムになっている。このネットワークを利用して、現代の民主主義社会では集団思想が作り上げられているし、大衆の考えは一つにまとめられているのだ。(p.36)
プロパガンダを行う人々を私は本書の中でプロパガンディストと呼んできたが、このような人々にとって重要なのは、さまざまなプロパガンダの方法の全体の中での相対的な位置づけや、その大衆との関係が絶えず変化していると理解することだ。こちらのメッセージを相手に対して確実に届けようとするならば、この位置づけの変化が起こった瞬間に、それをうまく利用しなければならない。50年前、市民集会は、ひときわ優れたプロパガンダの手段だった。だが今日では、人目を引くアトラクションがプログラムに組み込まれているのでもない限り、ほんの一握りの人でさえ会場に足を運ばせるのは難しい。自動車が人々を地元から遠ざけ、ラジオが人々を自宅に引き止め、毎日発行される新聞がオフィスでも地下鉄でも人々に情報を伝えるのを可能にしたからだ。(pp.214-215)
最初の引用は、クチコミ・マーケティングを考える際のアドバイスにも聞こえますね。実際、本書では情報の伝え手として、医者や教師などの「インフルエンサー」を活用する手法を紹介しています。ブログ時代にバーネイズが生きていたら、この新しいメディアをプロパガンダにどのように組み込んだのだろうか……と想像してみるのも面白いかもしれません。
アメリカにいる会社内の知人から、以下の記事を教えてもらいました(Oさん、ありがとうございます!)。参考になる内容なので、ちょっとご紹介:
■ Web 2.0 and the CEO (CNET News.com)
米 Forrester Research のCEO、George Colony 氏が寄稿したコラム。「最近、大企業のCEOと話をしていると、WEB2.0が話題になることが多い。そんな時、私は彼らにこんな話をする」という書き出しで始まっています。どんな話をしているのか、簡単にまとめてみると:
1. 顧客との会話ができているか?
企業の一方的な都合で商品/サービス開発を行っている事例がまだまだ多い。企業が力を持つ時代は終わり、顧客が力を持つ時代となった。彼らと双方向のコミュニケーションを行わなければならない。
2. 利用者を考えたWEBデザインがされているか?
Forrester Research が実施した調査によれば、大企業のWEBサイト1,000個のうち、合格点に達していたのは3%だけだった。シナリオデザインやペルソナなどの手法を使い、利用者中心のWEBデザインを行わなければならない。
3. あなたの顧客は、あなたの商品/サービスを他人に薦めるか?
『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』という本で提唱されている手法。顧客に「あなたはこの商品/サービスを友人や同僚に薦めますか?」と尋ねてみよう。顧客が力を持つ時代には、顧客満足度が何よりも重要だ。
4. 顧客からロイヤルティを得ているか?
かつて人々は、同じ企業から同じ商品/サービスを買い続けたものだった。しかし現代では、ちょっとしたミスで顧客は離れていく。顧客からのロイヤルティを維持するために、日々絶え間ない努力を続けなければならない。
5. デジタルの破壊力を理解しているか?
どんなに規制されても、デジタルの情報はネット上を自由に、法を無視して広がるものだ。人々は欲しいものを手にする -- その現実を直視して、時代遅れとなったビジネスモデルに固執することのないように。
6. マーケティング部門と技術部門の融合を目指しているか?
顧客を理解し、彼らとの新しい関係を描くことができるのはマーケティング部門だ。一方、それを実現できるのは技術/IT部門である。従って両者が共同で働くことが、WEB2.0戦略を遂行する唯一の道であり、両者を取り持つことができるのはCEOを置いて他にない。
……と、こんな感じ。それぞれの議論については各所で繰り返されていますが、Forrester のCEOが選んだ「いまCEOが『WEB2.0』というキーワードから考えるべきポイント」といったところでしょうか。
いつの時代だって商売は顧客の方を見て行わなければならないはずですが、実際そういう意識で働いてる人って、特に大企業の中には少ないと思います。日々の業務の中で、自社の商品/サービスを実際に使っている人々と面と向かって話し合うことなどほとんどないのですから、それも当然でしょう。それが可能なはずの小売業だって、信じられないくらい機能不全に陥っているところがあるし。
なわけで企業が旧態依然としたままなのに、一般の人々の情報発信力だけが急激に増してしまっているのがWEB2.0という状況なのでしょう。両者の進化のペースが一緒であれば何の問題もなかったはずですが、特にテクノロジー系でない業界などには「生きた化石」と呼ぶべき例がゴロゴロしてますよね。Forrester という米国の企業でさえも、6つのアドバイスのうち1~4までを「顧客に向き合え!」に費やしているのですから、日本企業はいったいどんな状況やら。
その上皮相的な技術論だけが先走りしているものですから、とりあえずブログとSNSと(なぜか)動画コンテンツを自社サイトに取り入れときゃいいんだろ、的な対応も多いわけで……っとこれ以上は脱線してしまうので止めておきますが、その意味で George Colony 氏が上記のような点を「WEB2.0時代にCEOが考えるべきこと」として挙げている意味は大きいのではないでしょうか。
先日こんな話があったばかりですが、週末版ということでご容赦を。最近はクチコミマーケティングなんて言葉が生まれているわけですが、思わず誰かに伝えたくなってしまうニュースってありますよね。そもそもブログ自体が「これを誰かに話したい!」というモチベーションから生まれてくるものですが、それじゃどんな内容を人々は話題にしたがるのか、という話:
■ The Nine Best Story Lines for Marketing (How to Change the World)
最近 Truemors で一騒動あった、Guy Kawasaki 氏のブログ。内容は"Beyond Buzz"という本の紹介で、そのエッセンスをまとめて"the top nine types of stories that people like to talk about"(人々が話したくなるストーリー・ベスト9)としてまとめたもの。早速その9つはというと:
1. 願望や信念
サンのスコット・マクネリが「デジタルディバイドを解消しよう」と訴えていることや、パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナードが環境問題を重視する姿勢を示していることなど、願望や信念に関するトピック。
2. ダビデ対ゴリアテ
旧約聖書の話から。弱者が強者を倒すというストーリー。日本でも「判官贔屓」なんて言葉がありますが、アンチ巨人やベンチャー企業に対する応援など、様々な例がありますよね。
3. 迫り来る大変革
何かが大きく変わろうとしている。危険を回避する/チャンスを見つけるために、その情報を早く知りたい……という心境。この手の話の例が知りたければ、書店でビジネス書コーナーに行けばOKでしょう。「○○革命がやってくる!」「○○時代を乗り切る!」的なタイトルの本がいくらでも見つかります(特に日本経済論系がオススメ)。
4. 逆張り論
一般常識や社会通念と逆の意見。例えば「WEB2.0はすばらしい!」的な意見がどっと現れたときに、「WEB2.0なんて使えねー!」的な意見が出ると「おっ」と興味を惹かれてしまう、といった感じ。これもよく経済予測なんかで「もうすぐ○○は終わる!」的な発言をしている人がいますね(まさに逆張り)。もしくは「みんな『甘いものを食べると太る』って思ってるだろうけど、実は甘いものを食べた方がやせるんだよ」なんて話を知れば、思わず誰かに伝えたくなります(そんな話はありませんが)。
5. 不安
「3. 迫り来る大変革」に似ているが、もっと漠然とした不安(3. は次第に現れてきているトレンドへの関心)。恐れ、不透明感、疑念(略してFUD: Fear, Uncertainty, Doubt)などを感じると、人は誰かと話をしたくなるもの。
6. 個人的な話
人は「個人的な話」を聞くのが好き。例えば、有名な「スティーブ・ジョブスのスタンフォード大学でのスピーチ」も、感動を呼んだ理由の1つは「彼の個人的なストーリー」が含まれていたから。系統は違いますが、新聞の人生相談コーナーや、ワイドショーの「視聴者体験談」コーナーなどに思わず目がいってしまうのも、同じ理由かもしれません。
7. ハウツーもの
まさにこのエントリですね。また最近のライフハック流行りのように、ハウツーやアドバイスは誰かに披露したくなってしまうもの。
8. セレブな話
映画スターやハリウッドのセレブなどの話をしたくなる心境。高級車の話や、街で話題のスポット(いまなら東京ミッドタウン?)の話をしたくなるのも同じ心境でしょうか。
9. 期間限定イベント
最近はお菓子やビールでも「夏だけ限定!」な商品が数多くありますが、期間限定なモノやイベントに関する情報は誰かに教えたくなるもの。
……とこんな感じ。確かにこの種の話は、自分でも多くしているような気がします。特に7.は「○○するための○ヵ条」的記事が多い/それにアクセスする人も多いという現象が、その効力を示していると思います(ただし「箇条書きは心に残らない」という指摘もありますが)。
とりあえず"Beyond Buzz"をアマゾンで注文してみたので、読んだらこの話をつづけるかも。ちなみに米 Amazon.com のページでは、著者の Lois Kelly さんが記事を投稿されているので、興味のある方はこちらも合わせてどうぞ。
投稿情報: 08:42 カテゴリー: マーケティング | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
お知らせです。来る6月28日(木)午後7時30分より、AMNブログイベント vol.2 ~ 『ブログとマーケティング』を考える ~ が開催されます。アジャイルメディア・ネットワーク公式サイトでの告知はこちら:
■ AMNブログイベント第二弾は『ブログとマーケティング』がテーマです。(Agile Media Network | blog)
4月に第1回、6月に番外編が開催されたAMNブログイベント。今回はマイクロソフト様に協賛をいただき、「ブログとマーケティング」をテーマにパネルディスカッションとワークショップを行うこととなりました。
パネルディスカッションの内容は「企業はブログを活用して、いかにブロガーや顧客とコミュニケーションをしていけばよいのか」。パネラーの一人として、私も参加させていただきます。マイクロソフトでマーケティングをご担当されている森屋幸英さん、アリエル・ネットワークの徳力基彦さんも参加されますので、個人的にも非常に楽しみ。
なお会場の関係上、定員が40名となりますので、ご興味のある方はお早めにお申し込み下さい(※定員を超えた場合、ブログをお持ちの方のお申し込みが優先となります)。ちなみにウチのクマも連れて行きます。
お申し込みはこちらのリンクからどうぞ:
僕の娘はまだ小さいので、簡単なお人形さん遊びしかしないのですが、おままごとの真似事(?)をするようになりました。そろそろ「リカちゃん」のような人形を欲しがるかな……と思っているのですが、もしかしたら欲しがるのは人形ではないかもしれません:
■ Doll Web Sites Drive Girls to Stay Home and Play (New York Times)
いまアメリカで"Cartoon Doll Emporium"なるサービスが小さい女の子に人気とのこと。以下にスクリーンショットを掲載しましたが、こんな風に原色で目が痛くなりそうなサイトで(女の子の好みは世界共通?)、「アバター機能が充実したSNS」といったところでしょうか。有料サービス(1ヶ月$6.99)で、メンバーになると「バーチャルドール」なるものを作ることが可能。この「人形」の髪型・洋服・アクセサリーなどを着せ替えたり、他のユーザーと交流したりして遊ぶわけですね。ちなみにユーザーの96%までが8~14歳の女の子で占められているそうです。
New York Times は Cartoon Doll Emporium を「補助輪つきの MySpace」と表現していますが、親にとっても安心なサービスと言えるかもしれません。料金はクレジットカードで支払わなければならないので、おかしな人物が匿名で参加するのは不可能。料金は毎月発生しますが、洋服・アクセサリー等は無料とのことなので、トータルで考えたら安上がりかも……と思わせませす。思わせるだけ、かもしれませんが(案の上、「選べる人形が増える」などの有料プレミアム・サービスがあるそうなので)。
こうしたサービスは急激に人気を集めていて、同様のサイトがいくつも立ち上がっているのだとか。そうなると、割を食うのは「本当の」人形です。バーチャルで人形遊びをしているのなら、その分リアルで人形遊びをする時間が減る -- そうした懸念からか、バービーで有名なマテル社も"BarbieGirls.com"という類似サービスを立ち上げたそうです。
安全性に配慮されているとはいえ、小さい子供がオンラインで遊ぶことに対する懸念は残されるでしょう(類似サービスの中には、広告収入に頼ってユーザーには課金しないものも)。しかし自分の「人形」を自由にアレンジできるうえ、いつでも誰かとコミュニケーションできる世界があれば、子供がそれに夢中になるのは当然です。リアルでの人形遊びは完全に無くなりはしないにせよ、その大部分が「バーチャルおままごと」に置き換えられるのではないでしょうか。
もしかしたら、バーチャルで人気を集めた人形が、リアルで現実の人形として発売されるようになるかもしれません。実際、セガのアミューズメント機「オシャレ魔女 ラブ and ベリー」内でキャラクターが着ていた服が現実の服として発売されたという例もありますから、リカちゃんに代わる人形が「日本版 Cartoon Doll Emporium」から生まれた……などと数年後に語られている可能性はあると思います。考えてみれば、他にも「ゲーム->(手で触れられる)玩具」という事例は数多くありますし、今後は「子供向けWEB2.0 -> 玩具」という流れも普通になるのかもしれませんね。
投稿情報: 09:48 カテゴリー: SNS/ソーシャルメディア, マーケティング | 個別ページ | コメント (0) | トラックバック (0)
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