今日は忙しくて、まだ深く考えていないのですが、1つ非常に面白い内容の記事がありました:
直感に従い4ヵ月で50作を開発――実験が示したゲームの可能性�デジタル家電&エンタメ-最新ニュース:IT-PLUS.
カーネギーメロン大学の4人の大学院生が始めた、「実験的ゲームプレープロジェクト(experimental gameplay project)」についての記事。これは以下の3つのルールに従って、ひたすらゲームを作るプロジェクトだったとのこと:
- それぞれのゲームは7日間以内に開発しなければならない
- それぞれのゲームは完全に一人で開発しなければならない
- 重力や、進化や、跳ねるといったような一般的な法則をテーマに持っていなければならない
中には14日間を費やした「ルール違反」の作品もあったそうですが、概ね上記のルールを守り、4ヶ月で50以上のゲームが生みだされたそうです。プロジェクトの実際のサイトはこちら:
この実験の結果、以下のような教訓が得られたとのこと:
- ゲームの面白さと開発期間には関連性が無かった
- メンバー共同でのブレインストーミングは創造性を生みだすことは無かった
- 最初のコンセプトの段階で、はっきりとしたテーマを生みだせているかどうかが最も成功する条件である
教訓1は、ゲームにハマった経験のある人なら「そんなの当然」というものではないでしょうか。莫大な費用と期間を開発されたゲームなのに「クソゲー」と呼ばれるものは多いですし、反対にテトリスのように、シンプルながらもハマってしまうゲームはいくつも挙げることができます。
ただ、この結果から記事では
彼らの開発方式から、今の日本企業が考えさせられることは多い。巨大な開発体制がなければおもしろいゲームができないというのは間違いであり、ゲームの持つ魅力や発見されていない可能性はまだまだ存在しているとこのプロジェクトは示唆している。
と論じていますが、これはちょっと視点がずれているのではないでしょうか。日本のゲーム開発はむしろ映画制作に近いと思います。ゲーム業界は多くの関係者が存在する産業となってしまったために、彼ら全員が「稼げる」ようにするため、大型開発プロジェクトを続けている--というのが僕の仮説です。
映画型の大型プロジェクトであれば、CG制作やキャラクターデザイン、プログラマー、ミュージシャンなど様々な人物が関わる余地があり、ゲームそのものがつまらなくても関連商品(CDやキャラクターグッズ)の売り上げを見込むことができます。短い開発期間・コストで「ゲームとしておもしろい=そこからキャラクターグッズなどのビジネスに波及して行かない」ゲームを開発するという方向性に転じたら、極端な話、日本のゲーム産業は大幅な構造変革を迫られるのではないでしょうか。それが分かっているから、多くの企業が「構想○年!開発費○○億!壮大なスケールでお送りする×××!」というゲームを作り続けているのだと思います。
門外漢の勝手な仮説はこのくらいにして、教訓2と3も興味深いですね。優れた創造性というものは集団からは生まれない、個人のひらめきに依存するのだ--という意見は、よく考えてみたい示唆です。もしかしたら、独立した個人が独力で開発を行うという環境がそうさせたのかもしれませんし、ブレインストーミングの方法が悪かったのかもしれません(余談ですが、「良い」ブレインストーミングの方法については、『発想する会社!』という本の解説が参考になります)。
いずれにせよ、時間があるときにexperimental gameplay projectのサイトももっとよく見てみたいと思います。このプロジェクトを分析した記事も、きっとすぐに現われてくるでしょう。
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